はいやってきましたヴィンランドサガ。
今回は私に大きな宿題があったように思います。
それはクヌート覚醒の理由とトルフィンが戦士として足りないもの。
この二つは作品の大きなテーマの上にあるものでありかなり重要なポイント。
なのでこの二つの宿題に応える形でとりあえず感想書いていけたらなと。
まあ一応注意書きとしてはあくまで私の解釈ということです。
そこだけは悪しからず。
というわけでサクサク感想書いていきます。
目次
全体の感想
- 作品を貫く理想というテーマ
- クヌートは理想に目覚めたからこそ覚醒した
- トルフィンは復讐に囚われているがゆえに理想が見えない
とりあえず今回は理想がテーマかなと。
クヌートは理想に目覚めた故に覚醒した。
トルフィンは理想がないからこそトルケルの求めるような戦士になれない。
結論から言ってしまえばそういうことになります。
作品のテーマとなっているヴィンランド。
いわば理想の地。
その理想の終着点。
それがクヌートにとってはキリスト教であり。
トルフィンにとってはヴィンランド。
そういうことになりますが。
今回はクヌートは神父との問答によってキリスト教の愛。
それは絶望的に手に入らないもの。
しかし追い求めなければならないもの。
そう解釈して自分で立ち上がることを決意したのだと感じました。
一方トルフィンは復讐に囚われている。
いわば理想を追い求めず過去の出来事に囚われている。
だからこそヴィンランドという理想が見えなくなり。
トルケルに普通の烙印を押された。
そう解釈しました。
一応簡潔に書くと上記の通りなのかなと自分では思っています。
かなり難しくしかし重要な回だったので今回は厳しかったです。
でも私の解釈を書くとこうなるという形になりますね。
クヌートを貫くキリスト教の愛というテーマ
- クヌートは愛を求めていた
- しかしそれは絶望的に手に入れられないものだと知った
- だからこそ追い求めると決心した
クヌートにはキリスト教の愛に気づいたからこそ覚醒したのだと思います。
これはどういうことかというとですね。
自らの追い求める理想。
それが愛なんだと思うんですね。
ラグナルが与えてくれたもの。
あのありったけの好意すら。
偽善であることに気づいてしまった。
つまりどう考えても手に入らぬもの。
そう気づいてしまったんですね。
でここで普通の人なら絶望するんですが。
ヴィンランド・サガのキャラはそうならない。
どうしようもなく手に入らないからこそ。
これこそ追い求めるものだと。
クヌートは気づいてしまった。
つまり自らの理想の核心に触れたんですね。
そして核心に触れたからこそ覚醒した。
愛を求めるという理想に気づいたからこそ。
クヌートは夢から覚め現実を見つめ歩きだした。
重要な回だと感じました。
トルフィンは理想に気づけていない
- トルフィンは理想に気づけていない
- 父の復讐に囚われている
- だからこそトルケルの理想の戦士足りえなかった
トルフィンは理想に気づけていないんですね。
父親の仇。
それにこだわっている。
恐らくトルフィンが求めるべきもの。
それはヴィンランドという土地。
その理想だと思うんですが。
ここに今目は向けられていないんですね。
つまりクヌートのようにどうしようもなく果てないもの。
それがないんですよね。
トルケルはヴァルハラという理想がある。
そしてその果てないものを追いかける同志としてトルフィンを見ているんですね。
でもトルフィンは理想に目が向いていない。
だからこそあまりに普通だった。
闘志だけの腕のある戦士。
そういう風にトルケルは受け取ったんだと思われます。
ただまだ気づいていないというだけで。
これから気づく余地もある。
その時こそトルフィンの物語が始まる。
そういう風に受け取っています。
トルケルの理想はあまりにも遠い
- トルケルは自らを満足させるものを探している
- しかしその理想はあまりに遠い
- 遠いがゆえに追い求める
トルケルもまた理想を追い求める戦士だといえます。
トルケルにはヴァルハラという理想がある。
だからこそ戦いを繰り返す。
そして相手にも戦士たらんとするものを求める。
そして今回トルフィンならと思って対峙するが。
またそれも違ってしまった。
今回はキリスト教と愛とヴァルハラという理想の地。
それは全く違うもののように思えます。
でも自らを満足させるもの。
それを求め探すという点においては。
トルケルもクヌートも同じだというのが私の解釈です。
そしてまたトルケルの追い求める理想。
それもあの世にしかないような果てないもの。
でも果てないものだと絶望するのではなく。
その途方もないもののために前に進んでいく。
そこがトルケルの素晴らしいところだと思うんですよね。
理想という作品を貫くテーマが出ていた
- 理想とは何か
- それはあまりにも遠い
- 遠いがゆえに追い求めるもの
今回は理想という作品を貫くテーマが出ていたように思えます。
クヌートの場合は理想に触れた王として。
トルフィンはまだ理想に触れぬ戦士として。
一方は与えられ、一方は失っている。
そして一方はヴィリバルド、一方はトルケルの問答によって。
その対比は一層濃いものになった。
そしてこの二人の対比によって理想とは何かというのを深く問おうとしている。
それが今回の話の大きなテーマだったように思えます。
そしてヴィンランド・サガの素晴らしいところ。
それは余りに遠い理想に触れた時。
ヴィンランド・サガのキャラクターは絶望するのではなく。
むしろどうしようもなく追い求めてしまう。
果てしない遠いものだからこそ追い求めてしまう。
その果てしないくらいの人間の希望。
それを描いているところですね。
タイトルはヴィンランド・サガですが。
この物語はヴァルハラ・サガでもあり。
この物語はキリスト・サガでもあり。
この物語はアヴァロン・サガでもあるんですね。
それぞれのキャラクターに理想がありそれを追い求める信心がある。
だからこそここまで響く物語に仕上がっているんだと思いました。
まとめ
- それぞれのキャラクターに追い求める理想がある
- そしてそれを追い求めぬく信心がある
- そこがたまらなくかっこいい
というわけでまとめてみました。
まあ今回はやたら哲学的であり。
どう表現するのか分からない部分もありました。
でも作品のテーマであろうと考える理想。
そしてそれを追い求めるキャラクターの信心。
そこから逆算して考えると上記のような解釈なのかなと。
僭越ながら思っている次第ではあります。
そしてそここそがこのヴィンランド・サガ。
キャラクターが魅力的に見えるヒントなのかなと考えてみます。
私の好きなアシェラッドもトルケルも。
理想を求めているからこそかっこよく見える。
そしてこれからクヌートも覚醒し同じ理想の道を歩もうとしている。
トルフィンはまだまだ先ではありますが。
今回のクヌート覚醒やトルケル問答を見て。
また同じ理想への道を辿ることが予見された回でした。
個人的には非常に難しかったですがかなり重要な回だと思っています。
私もまたキリスト教や北欧神話の信心に触れ今回は勉強になりました。
というわけで次回も正座して待っています。
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コメント
まさに仰る通りだと思います。一人一人にブレのない信念があり、ひたすらそれに向かって進み続ける。それがヴィンランドサガのキャラクターを魅力的にしている最も大きな要因ですね。その中でも今のクヌートは人種にも、戦いにも、今まで信じてきた神の意思にも囚われず、ただ自らの意思で「楽園を創る」という理想を獲得したという点で最も洗練されたキャラクターではないかと思っております。
>ヤール様
コメントありがとうございます。
今回はキャラの魅力を読み解くための重要回と言ってもよく同意して頂けますと心強いです。
クヌートは今回物語の核心に触れ大きく動き出しそうなキャラでした。今後の活躍が楽しみです。
あとはトルフィンですよねー。クヌートとは反対に復讐に囚われたままトールズの意思に目を背けてばかりで、、、
アシェラッドが人間はみんな何かの奴隷だと言っていましたが、今のトルフィンはまさに復讐の奴隷です。ヴィンランドという自由を夢見る少年時代を思えば、とても皮肉ですよね。
>ヤール様
コメントありがとうございます。
ヴィンランド・サガのタイトルが示しているようにトルフィンの物語に後に繋がることとそこは楽観的に捉えています。
ただそこに繋がるためにトルフィンがどこで絶望するかというのがこの物語のポイントとなるかと。
今はアシェラッドという敵が生きている状態なんですね。そこにトルフィンの希望がある。
クヌートとラグナルの関係同様その希望が潰えて絶望した後如何にトルフィンが希望の境地に至るか。
まだ今後はわからない状態ですが個人的に気になるのはトルフィンが如何に理想を得るか。でなく如何にして失うか。そこにまたトルフィンの魅力が増す演出があると期待しています。とりあえず正座して待っています。
確かに今のトルフィンにとってアシェラッドとは倒すべき相手であると同時に唯一の生きる原動力ですからね。今後はトルフィンを中心に物語が進んでいく可能性大でしょう。
>ヤール様
コメントありがとうございます。
とりあえずトルフィンの物語がどうなるか。
腰を据えて見ていきたいなと思います。